内臓を受け止める生存に必要なふわふわ
畑という人間です。
朝から嫌な予感はしていたのだが、嫌な予感からは目をそらしたくなるものだ。
明確な、尿でも糞便でもない粘り気のある液体が暗雲のような痛みとともに衣服を汚す感覚があり、私は数ヶ月ぶりに「あーーーーーあ」と思った。
生理である。
生理は文字通り生理現象であり、激痛と体の不調を伴い、自分の意思では時期も量も痛みもまったくコントロールできないものだ。できると言う人もいるが私はできないし、99%の人もできないと思う。
生理をエロという意見を見て愕然としたので聞きたいのだが、男性よ、月に一回、大量の血と剥がれた内臓の内側の膜が激痛とともに尻穴から排出されるイベント(しかも1週間に渡る)に悩まされていたとして、
「エロい」
「下品」
と他人から言われたら控えめに言って殴りたくなるのが想像できるでしょう、ほとんどの方は。
膀胱炎にエロいとか下品とか清楚とか上品とかそういう形容があてはまるか?
症状だし、はっきり言って病なのだ。これは。
だってたまに引く風邪より月一の生理のほうが遥かに痛いし辛いし治らない。
百歩譲って、こんなことを前置きなく延々と書き連ねている私自身が清楚さに欠け下品であるというお声は甘んじて受けようと思うのだが、なぜこんなものを書いているかというと、「エロい」「下品」という的外れも甚だしい形容が出回るくらいには生理について実情を知らない方が多いようだと感じたからだ。
そんなことだから、世界でも有数の自然災害被災国のくせに生理用品の支援が遅れるのである。
生理は自分の意思でコントロールできるものではないし、自分の意思で始めるものでもない。(薬の服用をしない限り)
従って、対処用のナプキンを所持していなくても、営業先のアポにあと5分で入らなくてはならなくても、大地震でトイレの水さえ満足に流れないし着替えもない状態でも、御構い無しにきやがるのだ。内臓の内側が剥がれ、血液とともに、激痛を伴って流出するのだ。
それを受け止めるためのナプキンというやつは役柄でいうなら包帯であり絆創膏である。被災地で額からだらだら血を流している人に「包帯はほんとうに必要なのか?」などと聞いたらまずその人が頭部の負傷を疑うべきだが、生理に関しては嘆かわしくも存在する問いかけなのだった。
さて、本日の私は、「あーあ」と思った後迅速にすぐそばのコンビニに駆け込み、一番サイズの大きそうなものを買うことができ事なきを得た。定期的に目の前が白くなるほどの腹痛をこらえ、なんとかどの交通機関の椅子も血で汚さずに帰宅することができた。
今月いちばん、コンビニエンス、という言葉に頼りがいのあった日だった。
2019.1.24