『アサシンクリード』~謎のいきもののモツ煮込み【映画感想】
本日のごはん:『アサシンクリード』(原題 "Assassin's Creed")
料理した監督:ジャスティン・カーゼル
脚本:マイケル・レスリー、アダム・クーパー、ビル・コラージュ
音楽:ジェド・カーゼル
主演:マイケル・ファスベンダー、マリオン・コティヤール、ジェレミー・顔怖い・アイアンズ、アリアンヌ・ラベッド
(敬称略)
味
~謎のいきもののモツ煮込み~
・あっつあつなのでとにかく体があたたまる
・「何」のお肉さんなのか、具材が分からなくても煮汁は最高にうまい
みなさん、モツ煮はお好きですか。私は大好きです。今回ご紹介するモツ煮という名の『アサシンクリード』ですが、とにかく熱々です。冬に食べるアッツアツのモツ煮ほどおいしいものないですね。料理した方、制作にかかわった方みんなの熱量と愛情を感じて、それだけでお腹があたたまります。
肝心の何モツなのか、なのですが、正直わたしもこれを書きながら分かっていない気がしています。というか確実に分かっていません。原材料のお肉は、広~~~く一般には流通していないこともあってか、お肉愛好家のみなさんたちの間では、こちらのモツ煮を「こういうのを待ってたんだ!!」と貪り召し上がりながらも、「このお肉、知ってる人いる...?なんのお肉か、知らないままだとこのモツ煮おいしくないんじゃ...?」と不安に思ってくださる方もお見掛けいたしましたが、結論から申し上げて私にはめっっちゃおいしかった!!です!!何を煮込んだ結果の煮ものなのか、分かっていればもっといろんな味わい方もできるんだろうな!?という一抹のくやしさこそ抱きつつも、なんて旨い煮汁なのでしょう。お肉さん本体のほうも食べてみたいなあ否必ず食べます、と決意を固めてしまいました。
【以下、具材(ネタバレ)】
続きを読む畑のカンボジア遺跡旅番外 骨のある町
夏を予感する季節というのがひょっとすると夏そのものより好きかもしれない。
あついくらいの風がまだ少し爽やかさを残して吹く午後って、ただでさえノスタルジックだと思うんですが、なんか例年にまして懐かしさを強く強く感じる。
それはこういう風が、3月のカンボジアに吹いていたからだと今気がついた。
いろいろなことを思い出したので、その勢いで書きます。特にまとまりはないです。誰かや何かを攻撃しようとはしてないです。
カンボジアの、首都プノンペンの次に人が集まる観光都市シェムリアップの真ん中には、骨がある。
そこはキリング・フィールドという名前でガイドブックに載っている。ワット・トメイというのがお寺の本当の名前だ。
ほんの数十年前のカンボジアで、クメール・ルージュの大虐殺によって亡くなった、数百万の死者たちへの『慰霊』塔が立つ場所。この訳語やめたほうがいいと思うけど。
実を言うと、私はその場所を訪れるつもりはなかった。1週間もシェムリアップの小さな町に滞在する予定なのに、そこに行く気がなかった。負の遺産を訪れて、そのとんでもない死と虐殺の記録を読んで、その後観光に戻れないと思ったからだ。楽しい旅にしたかった。私はそういう程度の意識を持っている。
でも、たくさんの遺跡を巡り歩きながら、やっぱりその寺院を訪れようと思った。
アンコール・ワットの壁に未だ残っている銃弾のあとを見たり、内戦期にその部分だけが削り取られて売り払われたという、首のない神像群を見たりした。私は遺跡を学びにきたけれど、遺跡がカンボジアの現代史から隔絶して存在しているわけはないという当たり前のことを考えたからだ。
賑やかに車やトゥクトゥクや人の行きかう通りを逸れもせず、すっと入った寺院の正面の門から、すぐに骨が見える。
骨だ。
クメール・ルージュによって亡くなった方の骨が積み上げられた、ガラスの塔が立っている。
うず高く積みあがったクリーム色の頭蓋骨が、初夏の強い日差しを浴びて光っている。
その、ものすごく普通に骨が積んであることの異様さ。
こうも言えるだろう。
骨が積んであるという、本来異様な光景であることを意図的に無視しているかのように。
一瞬普通に見えてしまうほど「普通」に、日の光に晒して、大量の人骨が積んであるのだ。
ぐしゃぐしゃにひび割れた頭蓋や、折れた大腿骨の山を見て、私は私の一般的な想像力で、そこにかつて肉がついていたことを、それはかつて人間だったことを考える。目の前にまさに広がるように、骨がカンボジアの水田に「普通」に積みあがっていたことを考える。
ふと、去年訪れた広島を思い出す。私は8月6日の朝に原爆ドームに立った。私は平和祈念資料館を訪れ、原爆死没者慰霊碑を見た。
その時の強烈な違和感を思い出す。
「安らかに眠って下さい 過ちは繰り返しませぬから」
つるつると滑らかな、無害な石板に彫られた言葉は、誰のためのものなんだろうか。
死者は生者に弔われることで、安らかに眠ったりするんだろうか。
死者を「慰める」ことで、生者が安らかに眠りたいだけじゃないんだろうか。
もちろん、原爆や戦争によって家族を直接なくした経験もない私が、その気持ちを軽蔑したり意見したりすることはできない。
けれど、原爆という負の記憶を遺すための場所で、求められるべきは安らかな眠りなのだろうかと思ったのだ。
キリング・フィールドを訪れようと思ったとき、私は死者に会いに行こうと考えていた。
しかし、あの場所で私が経験したのは逆のことだったのかもしれない。
カンボジア最大の観光都市のど真ん中で、透明なガラス以外の一切に覆われることなく、クメール・ルージュの死者は全然安らかに眠っていなかった。私を含む観光客のカメラのフラッシュに毎日何百回と晒され、彼らが死ぬまで殴られたときの傷をそのままに、銃弾のあとをそのままに、太陽をいっぱいに浴びて、彼らを見る私を見つめ返してきた。
彼らの周りで笑顔で写真を撮る観光客を、その観光客と何の違いもないくせに潔癖症を発揮して軽蔑のまなざしを向けようとする私を、私の書くこの文章を介して彼らを見るあなたを、彼らが見ている。
死者が見ている。
畑のカンボジア遺跡旅 遺跡編1日目
畑のカンボジア遺跡旅 入国編
だんだん書き方が露骨になってきていますね。
でも結局出国日にも返信が来なくて、空港からの街灯もないダダ長い国道を機内食片手にスーツケース引きずって歩くんかい...ちくしょう...と最早あきらめの境地畑。
畑のカンボジア遺跡旅 準備編
こんにちは。畑(@Hatake_ager) です。
けっこう旅が好きです。
20代のうちは、体力任せで行けて、かつ航空券代がそんなに響かないところに行こう!と思っています。モンゴル行って200㎞くらい馬に乗ってみたり、北京行って紫禁城でラスト・エンペラーを聞いて号泣したりしています。だいたいひとりです。
今回はカンボジア。
カンボジアの中でも、アンコール遺跡群に標的を絞って1週間滞在することにしました。
きっかけは、春にとっていたアジア医療史の講義。尊敬している中国史専門の先生が、「クメールは面白いよねえ。クメール近辺の戦争史って、要は労働力というか、国を維持する『人間』の取り合い合戦なんだけども、そんな中で、あれだけの都市や寺院の建設に人員を費やせたのは一体なんでなんだろうな」と言っていて、その日の帰りに借りたクメール史関連の本がものすごく面白かった。
これは現物を見に行かなくてはならぬ!と。
準備編といったって大した準備もしてないんですが、
・使った空路(LCC)の紹介
・「これ、持ってっても絶対に使わないだろ」と思ったけどめちゃくちゃ必要だった装備
・(おまけ:行く前に読んだ本で良かったやつ)
は忘備録として書いときます。
■AirAsia (空路)
アンコールワットを初めとするアンコール王朝遺跡群を訪れるとき、カンボジアではシェムリアップという小さな町が拠点になります。
シェムリアップ国際空港には日本からの直行便はなく、バンコクやクアラルンプールなどを経由する乗継便も本数が限られているため、旅が決まったらまず飛行機を取る!
私はオフシーズン(乾季)の3月上旬だったので、出発日1週間半前くらいでとれましたが(いつもながらギリギリである)、ハイシーズンならかなり前から押さえておく必要あり。
そして初!国際線LCC(格安航空会社)!
普通の航空券よりも格段にお安い(10万単位で安い)コスパのみで買ったけど、正直めっちゃ不安でした。飛行機でめっちゃ安いって大丈夫なん?極端な話落ちないの?大丈夫?
結論:大丈夫。
LCCがどこを削っているかっていうと、
「普通の航空会社が黙っててもやってくれてる至れり尽くせり部分」を削っているぽい。
なので、自動的にサービスされていたような以下の項目が、
・機内食→追加料金で頼めば出てくる
・機内預け荷物→追加料金がかかる
・余裕を持ったチェックイン→カウンターが搭乗の2時間前に設置され、1時間前にはクローズするので、事前にwebでチェックインしておかないとかなり焦る
・乗継→一定の条件を満たさないと、乗継先でもう一度税関を通って機内預け荷物を受け取り、再び荷物検査を受けて預けなおさなくてはいけない
こんな感じで事前にいろいろきちんと調べて確認しておかないと結構焦るよ!みたいな仕様になっています。
でも、逆に言ったら、事前に調べて確認しておけば特に問題はありません。
機内はどちゃくそに狭いとかいうことはなく、むしろ座席とかは変な国内線よりも座りやすくて快適。フライトアテンダントさん達も親切です。
(補足ですが、機内トイレは私が今まで乗った飛行機の中で一番きれいだった)
往復で7万円ちょっとくらい。
コスパを重視する方には、AirAsiaおすすめです。
あと、お金出して頼んでいるからかもしれないけど機内食が明らかにおいしいよ!
ちなみに機内食も機内でお金払って買えますが、事前に予約しておいた方がよいですね。なぜかというと、ドル使えるけどおつりがタイバーツで返ってくる。バーツはシェムリアップだと使えません。
■持って行って良かった、ガイドブックの「持ち物リスト」に載ってない装備
まずこれ!
「ラゲージチェッカー」!
大きめの体温計くらいの大きさ軽さで、自分の荷物の重さを測れるやつです。
AirAsia使うなら持って行った方がよいです。なぜかというと、機内預け荷物も機内持ち込み手荷物もかなり厳密に測られ、事前に申告していた重量を超えると1kgあたり2000円くらいの超過料金をどんどん取られるから!重さを気にしてお土産を買うの結構ストレスよ。
MAQUINO 【手荷物の重さを量る】 ラゲッジチェッカープラス オレンジ 071372
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次。
カンボジアの今時期、日中の平均気温は35℃くらいです。昼下がりは40℃くらいになります。風呂です。
これ、夏の暑さが大好きな畑ですが相当きつかった!!普通に軽い熱中症になった!!遺跡巡りをたくさんしたいなら、
「粉ポカリ」。
水道水飲めないのでペットボトルのミネラルウオーターいっぱい買うわけだけど、水って飲んでも飲んでも腹ががぶつくだけであんまり吸収されなくて熱中症まっしぐら。
まー使わないだろーと思いながら持って行った、水に溶かして飲める粉末スポドリを、買った水に少しずつ溶かして飲むと、すごく快適でした。
多分、ちっちゃいジップロックに食塩入れて持って行っても代用できます。塩分大事。
そして笑わないでほしいんですが
ダクトテープ。
洋画の見すぎっていう声が聞こえる!いやほんと役に立つんですってば~
「とりあえず固定」「とりあえず密閉」に大変役立つ。
私の泊まってた部屋のシャワーがぶっ壊れたとき、これなくしては直せなかった。なぜ客が客室を直してるんだ!別にいいけど!
小さい段ボール片にぐるぐると5巻きくらいしておけばかさばらないし十分量。ダクトテープ神話を侮るなかれ。
3M スコッチ 強力多用途補修テープ 48mm幅x9m DUCT-09
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あと、
・汗ふき・洗顔系シート(液体にカウントされないので機内持ち込みできます)
・アルコール除菌ウエットティッシュ(屋台で結構ほこりまみれ箸をくれたりするから、ひと拭きすると安心)
は便利だった。
■おまけ:行く前に読んで面白かった本。
遺跡・歴史系が好きな人は読んでみてください!カンボジア行きたくなっちゃうけどね。
「アンコール・ワットへの道 クメール人が築いた世界遺産」石澤良昭/内山澄夫
図版がすごく充実してて文章も平易で、コラム的に「まだわかっていない謎への現在の仮説」をたくさん紹介してくれて面白いの極み。
クメール史がまだまだ研究されつくされていない分野だというワクワクがこみあげてくる。
遺跡を見て、いつごろのものかを見分けるテクニックなども載っていて、これ一冊読んでいくと理解度全然違いました。
130pくらい薄いA5サイズで軽いのもよい。カンボジアに持って行った本の一冊。
というか和書でカンボジアの古代史系を探したら石澤先生のに必ず行き当たりますが、どれもおもしろいよ~
「アンコール・ワットの時代」とかは、図版は少なめで文字ぎっしりだけども、アンコール王朝の女性教育を推進した有名な王妃の物語や、彼女が亡くなったときに妹が書いた詩なんかが詳しく出てきて、ものすごく面白い。ぜひぜひ。